水文・水資源学会研究発表会要旨集
第19回(2006年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
セッションID: P-49
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水質水文
δ15Nを用いた河川窒素負荷の起源推定
*児玉 健小池 雅洋芳村 圭石崎 安洋沖 大幹
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抄録

 河川への窒素負荷の改善を目指す上で、窒素負荷の起源を把握することは非常に重要である。しかし河川への窒素負荷の指標として従来、全窒素濃度が用いられてきたが、この全窒素濃度では窒素負荷の起源を精度よく推定することは難しい。そこで本研究では、窒素安定同位体比を用いた河川に対する窒素負荷を起源別に分離する新しい手法を提示し、多摩川小流域でケーススタディを行った。
 河川水中において窒素安定同位体比を変動させる要因には二種類ある。一つ目は起源の異なる窒素の混入であり、二つ目は同化反応・脱窒反応といった生物活動による濃縮である。特に生物活動による影響は河川全域で窒素安定同位体比の変動を引き起こす。そのため人為排水による窒素負荷を起源別に分離するためには、まず対象流域内での生物活動による影響を推定し、次にこの推定された影響を差し引いて、人為排水による河川への窒素負荷を起源別に分離する、という手順が必要となる。
 起源の推定結果は、農業排水と生活排水の割合が1:3となった。また併せて既存の別の手法によって起源の推定を行ったところ、農業排水と生活排水の結果は1:20となった。

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© 2006 水文・水資源学会
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