一つの降雨イベントにおいて時間樹冠遮断量は降雨強度(時間雨量)に比例して増加することが報告されている。これは樹冠遮断が樹冠表面からの蒸発よりも、主に雨滴飛沫蒸発によって生じているためと考えられる。本研究では、新たに構築した樹冠遮断モデル(降雨強度依存モデル)と既存のモデル(熱収支モデル、Gashモデル)とを用いて、樹冠遮断の降雨強度依存性と雨滴飛沫蒸発について考察すると同時に、モデル相互間の関係について検討した。降雨強度依存モデルとGashモデルはいずれも計算値と測定値がよく一致した。さらに、両モデルは等価であることが示された。熱収支モデルでは計算値が測定値の1/3にしかならなかった。熱収支モデルの計算値が測定値と比べて過小となったのは、降雨強度依存性(雨滴飛沫蒸発)が考慮されていないためであり、このことから樹冠遮断の2/3は雨滴飛沫蒸発によるものと推測された。