抄録
地球温暖化により世界の水資源に顕著な影響が出るのではないかと懸念されている。この影響を評価するには降水パターンの変化といった水の供給側の変化に加えて、乾燥化(湿潤化)に適応するための灌漑の増加(減少)といった水の利用側の変化も同時に考慮する必要がある。また水の需給には大きな季節変化があることから年単位以下の時間スケールでの評価が重要である。これまでにも温暖化の水資源への影響を定量的に評価する試みが数多く行われてきたが、水需給の表現が不十分であったり、季節変化を無視していたりする問題があった。そこで詳細な水需給過程が表現できる花崎ら(2006)による全球統合水資源モデルと高解像度の温暖化予測気象データ(K1データ)を利用することにより、温暖化時の水資源評価を試みる。