主催: 水文・水資源学会
水資源に対する地球温暖化の影響予測のために、農業用水を時間的・空間的に高解像度で推定する必要がある。また近年、水資源利用における天水の重要性が指摘されており、灌漑水に対して天水の寄与分がどの程度なのかを知ることは重要である。そこで、農業プロセスモデルSWIMを用いて、2001年のGCMによる気象予測データを入力値とする必要水量の推定を全球グリッドベースで行った。灌漑用水を必要なだけ与えた場合と、天水のみで栽培した場合の二通りのシミュレーションを行い、両者における栽培期間中の農地からの蒸発散量を比較して、天水と灌漑必要水の構成割合を求めた。さらに、地球温暖化が生じた場合におけるこれらの値の変化を、2050年と2100年の気象予測データを用いて推定した。この結果、地域によって変動のしかたが異なる様子が明らかになった。今後は、実測値との比較などを行い、精度について検証してゆくことが課題となる。