水文・水資源学会研究発表会要旨集
第19回(2006年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
セッションID: 34
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流域水管理・開発(8月30日,14:10 - 15:50)
タイ国チェンマイにおける洪水予警報システムの現状と課題に関する研究
*新井 裕子鼎 信次郎沖 大幹
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抄録

2005年はチェンマイにおいて40-50年来の規模の洪水が5回発生し、同地域に甚大な被害をもたらした。筆者らは当洪水および洪水予警報システムを調査するため、2005年11月から1ヶ月間チェンマイにて現地調査を行った。同洪水による浸水地域は、人工堤防がないため地形にほぼ対応しており、河川水位から浸水被害が予測できることが分かった。また絶対的な観測所数の不足は見られず、水位相関法を用いた予測は高い相関を示していた。しかし一方で、リアルタイムデータを得ていないためデータ報告の谷間に水位上昇した場合に予警報が遅れるなどの問題点を抱えることが明らかになった。さらに、洪水警報発令権のある内務省管轄機関はタイ王立灌漑局やタイ気象局から情報を受け取るという立場にあるため発令判断能力は乏しく、後者にとって機関内での洪水予測の優先度は低いために予算や人員を割けない等の問題点も見られた。

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© 2006 水文・水資源学会
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