抄録
近年,異常気象に伴う深刻な気象災害が数多く発生しており,異常気象と気候変動に対する関心が高くなってきている.このような背景のもと,本稿は,降水における「ランダム性の経年変化を考慮した確率降水量の算定手法」について提案するものである.その中で,ランダム性の経年変化についてはエントロピーを指標として評価することとし,また,対象とする降水量は年最大日降水量とした.
本稿の提案する算定手法を用いて近畿地方の6箇所の観測地点について10年後,20年後,30年後における100年確率降水量を算出した結果,30年後における100年確率降水量は,現在に比べて,多い箇所では60 mm/day程度(奈良),また他の観測地点でも10 mm/day_から_20 mm/day増加することが示された.