日本の中心都市であり、最も人口集積著しい地域の一つである大都市東京が、その高い集積度合いのために一つの事故や災害の発生で大混乱に陥る危険性がある。そこで、東京がその機能を十分に発揮するため、より安全で・安定的な水資源の確保が必要である。しかし、日本の急峻な地形特性・偏った気候特性により、東京の淡水資源は、遠く離れた郊外のダムに頼らざるを得ない。一方で、近年、ダムからの放流水の水質悪化が顕著となり、下流の生活用水・灌漑用水に影響を与え、水道水を通じての人体への悪影響が懸念されている。また、ダムの下流河川の環境保全も考慮しなければならない。 そこで、本研究では、首都圏の各ダムが東京都に対してどの程度貢献しているのか、さらに、東京が依存するダムの栄養状態について評価を行い、安全な水確保が行われているか明らかにすることを目的とする。