水文・水資源学会研究発表会要旨集
第21回(2008年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
セッションID: P-44
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水質水文
霞ヶ浦湖岸湿原における氾濫時の水質変化と窒素収支
*中田 達塩沢 昌吉田 貢士
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抄録

妙岐ノ鼻湿原は茨城県霞ヶ浦湖岸最大のヨシ原である.本研究では,湖の増水時に容易に氾濫する湿原において,河川との間の水交換が湿原の物質収支に大きな役割を担うことを明らかにした.平水時の湖・河川の全窒素濃度は無機態窒素が6割を占めていたのに対し,湿原内ではほとんどが有機態窒素であり,その組成が大きく異なっていた.また,水位変化や気象観測を行い,水収支を求めたところ,河川との間の増水時の流入・流出水量は年間1873mmと降雨量の倍近くであった.さらに,氾濫イベントでの河川からの流入・流出水の窒素濃度変化を観測し,窒素収支を求めた.増水時には無機態の多い河川水が湿原に流入し,流出に転じると,NO3はほぼ0で,有機態窒素がほとんどを占める湿原内の水が流出した.湿原への全流入窒素の49%が氾濫によるもので,植物体の持ち出しと大気放出としての窒素除去量は19.8kg/haと算定された.

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© 2008 水文・水資源学会
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