抄録
全球水資源管理分野における気候変動の影響を評価する際に必要とされる,GCM出力値のバイアス補正データセットの開発を行った.バイアス補正手法は既に複数提案されているが,それぞれの研究において特定の領域,特定のGCMのみを対象としていることがほとんどである.そこで本研究では,全球陸域,複数のGCM出力値を対象とした手法について検討し,バイアス補正データセットの開発を行った.本データセットの特徴は月平均値と日単位の変動についてそれぞれ別にバイアス補正を行っていることである.それぞれの補正の際にはこれまでに提案されている各種のバイアス補正手法を比較し,各手法が基づく仮定および補正の傾向を明らかにした上で,データセットの開発を行った.補正したデータは観測値との比較による再現性を調べるための実験,および将来出力値の補正値の傾向を調べる実験によりその性能について検証を行った.