抄録
リモートセンシングを用いた森林の炭素吸収量の推定を高精度化するためには、個葉スケールにおける生理学的特性と分光反射スペクトルから群落スケールにおける分光反射スペクトルの季節変化を明らかにする必要がある.そこで、本研究では,群落スケールの炭素収支と分光反射スペクトルの日変化,季節変化の観測が統合的に行われている観測地において,個葉の分光反射スペクトルとクロロフィル濃度の観測を行った.観測の結果,個葉の分光反射率とクロロフィル濃度は季節変化を示し,春と秋における変化が大きかった.夏季のデータを除いて,波長が500nmにおける反射率とクロロフィル濃度には高い相関で線形関係がみられた.夏季においては,この線形関係からのずれがみられた.同観測地において群落スケールでの分光放射計を用いた観測においても,同様に,夏季に線形関係からずれるという結果であった.