水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2012年度研究発表会
セッションID: 35
会議情報

特別セッション【タイ洪水】(9月28日10:25~11:40)
2011年タイ国チャオプラヤ川洪水再現のための全球水資源モデルH08のパラメー タ最適化
*マテオ チェリー花崎 直太小森 大輔田中 賢治芳村 圭木口 雅司沖 大幹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
2011年8月から12月にかけて、タイ国を襲ったこれまでの観測史上最大の洪水は、損失額が1兆4,300億バーツと非常に大きな被害をもたらした。さらに、今次の大水害で冠水した工場の大半は日系企業であり、グローバリゼーションが進む今日において、今次の大水害はタイの国内問題にとどまらず、サプライチェーンを通じて日本のみならずグローバルな産業活動を行っている世界全体の問題であることが明らかとなった。 2011年の雨季総降水量は1,439mmで例年の143%と過去に類をみない降水量を記録した。結果として、チャオプラヤ川上流に位置する2大ダム(総貯水量230億m3)にて100億m3貯留したものの、総氾濫水量は約150m3と未曾有の大洪水を記録した。 将来においても今次の洪水と同規模の洪水の発生が十分予測され、タイ政府は次の洪水災害に備え、チャオプラヤ川上流に位置する2大ダムのダム操作を含めた抜本的な治水対策を検討している。さらに、ダム操作を検討するにあたり、雨季の洪水だけでなく乾季の渇水も同一に検討する必要がある。 そこで、自然の水循環と人間の水利用を統合的に扱える全球水資源モデルH08が2大ダムの効果的なダム操作方法を検討するために最適であると考え、H08モデルの対象領域を全球からチャオプラヤ川流域に設定し、パラメータの最適化を行った。その結果、年・月・日スケールで高い再現性を示した。
著者関連情報
© 2012 水文・水資源学会
前の記事 次の記事
feedback
Top