水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2015年度研究発表会
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【降水(2)】9月9日(水)13:40~14:55
合成開口レーダー干渉法(InSAR)で捉えた集中豪雨時の水蒸気分布:2008年9月西濃豪雨の事例
*木下 陽平島田 政信古屋 正人
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p. 100013-

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抄録
本研究はInSARで捉えた2008年9月2日の西濃豪雨時の水蒸気シグナル の検出事例の紹介とその事例解析の結果を報告する. ALOS/PALSARの緊急観測から得られた干渉画像から空間スケール約10 kmで視線方向に約130 mm変化する局所的な水蒸気伝搬遅延シグナルが検出された. この局所的シグナルを地球物理学的に検証するため, 我々は数値気象モデルのWRFを用いて局所的シグナルの再現実験を行った. その結果, 干渉画像での局所的シグナルに振幅・空間スケール共に似た伝搬遅延を引き起こす発達した対流を再現することに成功した. この対流はシグナルの南約10 kmに存在する養老山地での地形性上昇流によって引き起こされていることが示唆された. そこで地形による影響を調べるためDEMから養老山地を取り除いた感度実験を行った結果, 元のシミュレーションで再現された対流は再現されなかった. この結果は高空間分解能の数値気象モデルにとって現実的な地形が重要であることを示している. また, WRF のシミュレーション結果から水蒸気ではなく降水粒子による伝搬遅延の影響を見積もった結果, 降水粒子の影響は水蒸気による伝搬遅延量の約20 %に達し, その効果は水蒸気による伝搬遅延の領域に比べより局在化していた.
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© 2015 水文・水資源学会
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