水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2015年度研究発表会
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【流域水管理・開発】
チャオプラヤ川を対象とする作物成長と流水管理を考慮した分布型水循環モデルの開発
*山本 晃輔萬 和明立川 康人市川 温
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p. 100111-

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抄録
著者らは、京都大学防災研究所で開発されてきた陸面過程モデルSiBUCに、作物の成長過程を表現する作物モデル組み込み、さらにそのモデルを河川流量を計算する河道追跡モデルと結合させた分布型水循環モデルを提案してきた。 しかし、このモデルでは、河川流量に大きな影響を与えるダムの効果を考慮に入れていないため、特に雨季と乾季が明瞭に区別される地域においては、一年を通して精度よく流量を推定することができなかった。 そこで本研究では、対象領域をタイ国のチャオプラヤ川流域に設定し、既存の分布型水循環モデルに、流域中の主要なダムであるプミポンダムとシリキットダムの貯水池操作を表現したダムモデルを導入することで水循環モデルを開発し、その精度評価を行った。入力データとして、気象強制力データには気象庁55年長期再解析データ(JRA55)を用いたが、このうち総降水量データについては過大推定が報告されているため、USGSが提供するCHIRPSの総降水量データを用いて補正を行った後に使用した。その結果、ダム上流域についてはプミポンダムとシリキットダムの流入量を概ね精度よく推定できた。ダム下流域では、乾期においては観測値に近い流量が保たれており、ダムによる貯水池操作が適切に表現されているといえる。
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© 2015 水文・水資源学会
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