水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2017年度研究発表会
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【降水・降雪・融雪】
林内の積雪とオープンスペースの積雪はどちらが遅くまで残るか?
藤原 洋一*長井 貴広*中野 光議高瀬 恵次田中 健二Lundquist Jessica
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キーワード: 積雪, 融雪, 森林帯, 気温, 風速
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p. 71-

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抄録

本研究では、林内とオープンスペースにおける積雪・融雪を比較した研究論文を探し、これらの研究結果を整理することで、林内の積雪とオープンスペースの積雪のどちらの方が遅くまで残るかを明らかにすることを試みた。収集したデータおよび観測データから、林内における消雪日(SDDf)と隣接するオープンエリアにおける消雪日(SDDo)を読み取り、林内とオープンスペースの消雪日の違い(ΔSDD)を求めた。さらに、ΔSDDと気象条件(冬期降水量(mm)、冬期平均気温(℃)、冬期平均風速(m/s))との関係について調べた。その結果、冬期平均気温が低くなるにつれて林内の積雪の方が長く残ること、風速が強くなるにつれて林内の積雪の方が遅くまで残る傾向があることなどが分かった。さらに、消雪日の違いを目的変数、冬期平均気温、冬期降水量、冬期平均風速を説明変数として、決定木モデルを適用した。その結果、冬期平均風速が2.0 m/sを境にして分岐しており、これよりも風速が強いエリアにおいては林内の方がオープンスペースよりも積雪が長く残る傾向となった。また、風速が2.0 m/sより弱い場合、冬期平均気温が2.3℃よりも低ければ林内の積雪の方が長く残り、2.3℃よりも高ければオープンスペースの積雪の方が長く残る結果となった。

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© 2017 水文・水資源学会
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