中部地方に位置する岐阜県の県土は，濃尾平野の標高ゼロメートル地帯から標高3000m級の急峻な中部山岳地域にまたがっており，降水量も多い気候とあいまって，水害・土砂災害に代表される自然災害を多く蒙ってきた地域である．地域住民の生活の質と安全を将来に亘って確保していくためには，気候変動によって基本的には増加する方向で変化しつつある自然災害のリスクを適切に評価し，人口減少傾向も見据えた上で，社会インフラや土地利用のあり方といった社会システムを見直していくことが急務である．現在，岐阜県及び岐阜大学研究者グループは，文部科学省気候変動適応技術社会実装プログラム（SI-CAT: Social Implementation Program on Climate Change Adaptation Technology）の支援を受けて， (1)水害・土砂災害等自然災害リスクの予測，(2)岐阜県における気候変動適応策の検討体制の構築，(3)長良川流域におけるステークホルダー分析と社会動態予測に基づく地域適応シナリオの立案を進めている．本発表では，各取り組みのうち主な成果について報告する．
