抄録
気候変動に伴う極端現象の苛烈化によって、今後、集中豪雨の発生頻度が増加する可能性が高いことが示唆され、洪水被害の増加が危惧される。こうした降雨の空間的集中による被害増加に加えて、時間的集中度の増大によっても洪水被害が拡大することが指摘されている。気象庁は、短時間集中降雨(例えば、50mm/h以上の降雨)の年間発生回数が近年増加傾向にあることを報告しているが、1降雨イベント当たりの時間的集中度の観点から、その変化傾向を調べた事例は少ない。そこで本報では、全国5地点のアメダスにおける42年の時間雨量データから中規模の降雨の時間集中度を定量化し、その長期的変化を分析した。