水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2018年度研究発表会
会議情報

【地下水】
扇状地河川富士川における河川水位・伏流水が周辺地下水位に及ぼす影響のモデル化
*西山 晃平馬籠 純石平 博中村 高志西田 継
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 188-

詳細
抄録

河道掘削等の実施において、地域住民の懸念となる河川水位の低下等に伴う河川伏流水減少ならびに周辺地下水位低下の関連性の把握が必要不可欠である。そこで本研究では、扇状地河川である富士川流域笛吹川の成田地区を対象として、河川水位・伏流水が周辺地下水位に及ぼす影響について評価を行った。まず、伏流水を収支解析ならびに重回帰モデルにより推定した結果、収支解析と重回帰モデルによる伏流水の推定結果は概ね一致することが確認された。さらに、河川水位および伏流水が周辺地下水位に及ぼす影響を評価するため、推定した伏流水量と降水量を入力変数とする重回帰モデル、ならびに線形貯水池を模した構造であり、地下水帯における貯留-流出機構も考慮可能な、表面からの浸透と河川からの伏流水をかん養源とする概念モデルを構築した。これらを元に河川水位および3河川合計流量と伏流水の相関を調べた結果、正の相関性が確認された。さらに、扇頂部である3河川合流地点での流量との相関が、下流の水位との相関よりも高く、扇頂部での伏流が支配的であることが示唆された。さらに本研究では3次元地下水流動解析モデルMODFLOWを構築し、地下水流動状況の把握を行った。推定した地下水頭分布から、3河川合流地点付近の扇頂部から平地に向かう大局的な地下水流動方向を把握することができた。今後は、対象地域の河川や地形変化をより再現するため、MODFLOW-LGR(Local Grid Refinement:限定領域のグリッド細分化)による高解像度の笛吹川モデル(全域100m成田地区30m)による解析を進めるとともに、引き続き各モデルの特徴や制約を考慮しながら、河川改修が周辺地下水に及ぼす影響評価を進めていくことが必要である。さらに、扇状地特有の流動の実態を定量的に影響評価するため、同位体トレーサー解析の知見等の取り入れることも課題である。

著者関連情報
© 2018 水文・水資源学会
前の記事 次の記事
feedback
Top