水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2018年度研究発表会
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【河川・湖沼】
全球河川湖沼水温の長期的トレンドの検出に向けた取り組み
*小田 貴大山崎 大沖 一雄
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p. 200-

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抄録

河川や湖沼の水温は、そこに住む魚などの生態系に影響を与えるだけでなく、発電所での冷却用水などの工業用水や農業用水として利用されるため、人間活動にも大きな影響を与える。そのため、現地観測や衛星画像を用いた水温トレンドの研究がこれまで盛んにおこなわれてきたが、全球レベルで細かい河川や湖沼の水温トレンドについて調べた研究はこれまで存在しない。河川や湖沼の一部だけを観測して政策に落とし込むことは、誤った判断になりうる。本研究では、高解像度のLandsat画像を用いることで細かい河川や湖沼の水温のトレンドを全球レベルで明らかにすることを目的とする。そのために、水域データを利用し水域のみを取得し、表面温度計算アルゴリズムをこの水域にのみ適用することでLandsat画像のバンド情報から水温を計算する。得られた水温の時系列データのトレンド分析をすることにより、各流域の過去約30年分の水温トレンドを分析した。Landsatの観測頻度が少ないことからトレンドの検出は難しいと考えられているが、データ数についての検証を行った結果、Mann-Kendall検定とTheil Sen slopeによるトレンド分析はデータ数が少ない場合でもトレンドをよく検出できることがわかった。本研究ではアメリカの約200流域について、水温トレンド分析の結果が得られた。今後は、ミクセル問題を解決したり流域の大きさを小さくしたりすることで、より正確で詳細な水温トレンドの検出に挑戦する。

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