水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2018年度研究発表会
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【河川・湖沼】
十勝川流域において洪水ピークの時間差が河川水位および流量に与える影響
*安藤 麻衣星野 剛山田 朋人
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p. 204-

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抄録

地球温暖化の影響による気候変動によって,北海道では将来,降雨量の増加や降雨パターンの変化が予測されている.2016年8月に北海道では複数の台風の上陸や接近に伴う豪雨により,河川の増水や氾濫による浸水被害や土砂災害などの深刻な被害が相次いで発生した.降雨の時空間的な違いによっては,洪水の危険性が増大していたことも予想される.降雨の時空間分布の違いにより河川の水位および流量がどのような影響を受けるのかを把握することは,治水計画や洪水予測をする上で重要であると考える.そこで本研究では,降雨の時空間分布の違いによる河川水位および流量への影響を理解することを目的として,十勝川流域を対象に準二次元不定流モデルを用いた2016年8月の北海道豪雨時の再現計算や,異なる降雨パターンを想定したシミュレーションを行い,本川と支川の洪水ピークのタイミングの時間差による河川水位および流量への影響を把握する.再現計算の結果と観測値を比較することでモデルの結果の妥当性を評価した.また,合流部において本川と支川の洪水ピークのタイミングが重なった場合が最も危険な状況であると予想し,主要な支川である音更川,札内川,利別川の上流端の流量ハイドログラフを時間方向にずらした複数の境界条件を作成し,それらを組み合わせて全部で216ケースのシミュレーションを行った.その結果から,流量ハイドログラフの組み合わせ方によって洪水時の水位と流量は幅を持って変動し,その変動の大きさは場所によって異なることが示された.これは,2016年8月の北海道豪雨時に降雨パターンが異なった場合,さらに危険な状況になる可能性があったことを示す結果である.また,支川の流量ハイドログラフの時間差による影響を受けやすい場所は,降雨量から水位と流量を予測する際の困難さにつながると考えられる.

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