水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会/日本水文科学会 2021年度研究発表会
セッションID: OP-8-01
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地下水/水質水文/農地水文
簡易型地下水流向流速計を用いた高層湿原表層の流向流速分布
*山本 浩一小野 文也水俣 勝基植田 敏史
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抄録

高層湿原の保全のためには周辺地域の開発による広域的な地下水流動への影響に加えて排水路周辺や湿地溝(天然の排水路)付近の地下水の局所的な地下水流動を把握する必要がある.現状では地下水の流動を把握する場合,地下水位分布と透水係数を用いて地下水の流向・流速の推定が行われているが,対象地盤の透水係数が不明の場合には,地下水位分布の作成が困難あるいは流速の推定が困難といった問題がある.そこで単孔式地下水流向流速計測法が利用されているが,既存の地下水流向流速計は,計測に長時間を要すること,装置本体が高価であることで複数台の同時観測が困難であり現地試験を行う際に電源が必要であることといった問題点がある.最近開発されたペーパーディスク型地下水流向流速計(PDV)は,安価で電源を必要とせず,多地点の同時観測が可能である.そこで本研究では北海道の高層湿原において多地点の同時地下水流向流速の測定を行い,局所的な地下水流向流速分布を得た.おおむね地下水位分布に従って表層地下水は流動していた.湿地溝周辺など地形変化が大きく地下水位分布が得にくいところでも流向流速が計測可能である.また,ペーパーディスク型地下水流向流速計は熱量型流速計の計測流速とほぼ整合した.

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