近年日本の梅雨期において,線状対流系による豪雨災害が頻発している.線状対流系には,広範囲に雨を降らせて梅雨前線付近で発生する前線付随型のAタイプと,局所的な大雨をもたらし梅雨前線から南へ100kmほど離れたところで発生する孤立局所型のBタイプに分けることができる.本研究では,このような時空間スケールの違いに基づいた観点から,線状対流系の発生・発達メカニズムの解明に向けて,環境場の解析を行った.その結果,時空間スケールの違いによって線状対流系の発生位置や環境場の条件に違いがあることが明らかとなった.また,Aタイプは梅雨前線による大規模な収束が発生において重要であるのに対し,Bタイプは発達における自己組織性が強く,最初の積乱雲発生のために,限定的な環境場が必要であると示唆された.