日本免疫不全・自己炎症学会雑誌
Online ISSN : 2435-7693
症例報告
X 連鎖無ガンマグロブリン血症患者の軽症COVID-19 罹患後に器質化肺炎を反復し, 救命し得なかったサイトメガロウイルス肺炎の一例
図師 健太長澤 耕男村井 優志仲間 海人橋本 麗太田 昌幸平田 優佐藤 裕範山本 健中野 泰至高谷 具純石和田 稔彦濱田 洋通
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2026 年 5 巻 1 号 p. 9-16

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抄録
 X 連鎖無ガンマグロブリン血症 (X-linked agammaglobulinemia : XLA) の46 歳男性, 気管支拡張症の合併がある. COVID-19 に罹患しモルヌピラビルで改善したが, 第16 病日に呼吸不全で当院を受診した. 胸部X 線写真で肺炎像を認めたため抗菌薬を開始したが呼吸不全は増悪し, 経過や画像所見より器質化肺炎と診断した. ステロイドと体外式膜型人工肺による治療で一時は改善したが, ステロイドを減量するたびに器質化肺炎の増悪を繰り返し, 長期間のステロイド投与を必要とした. 最終的に第93 病日に呼吸不全のため死亡した. 臨床的には3か月の経過であったが, 病理解剖では慢性的な組織学的変化はみられず急性期の炎症所見であった. また免疫組織学的にサイトメガロウイルス (CMV) 抗原が陽性だったことより, 直接死因はCMV 肺炎と診断した. XLA では細胞性免疫は保たれるが, 器質化肺炎に対する長期間のステロイド投与により細胞性免疫が抑制されCMV 肺炎に至ったと推察された. 入院中に行ったCOVID-19 の検査は全て陰性であったが, COVID-19 以外に器質化肺炎の原因が見つからなかったことより, 本症例はCOVID-19 の合併症として器質化肺炎を発症したと考えられた. 気管支拡張症が背景にあると器質化肺炎に対するステロイド治療の反応性が悪くなるため, 軽症例の報告が多いXLA 患者のCOVID-19 においても合併症の重症化に注意が必要である.
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