2026 年 36 巻 3 号 p. 64-90
概要. 本論文では,離散ソボレフ不等式の建築工学における「筋交(すじかい)問題」への応用を論じる.まず,筋交モデルを平面グラフとして捉え,対応する離散ラプラシアン行列のムーア・ペンローズ一般化逆行列(グリーン行列)を算出する.適切なヒルベルト空間を設定することにより,このグリーン行列が再生核行列となることを示し,再生等式を用いて離散ソボレフ不等式を導出する.この不等式の最良定数は,筋交モデルの剛性(硬さ)を定量的に評価する指標となる.本研究では,特に1×nおよび2×n筋交モデルに着目し,筋交の配置パターンや部材の剛性パラメータが最良定数に与える影響を詳細に解析する.その結果,筋交の向きを交互に変える配置の有効性や,パラメータの値によって最適な配置パターンが変化する現象などを数学的に明らかにする.