2007 年 14 巻 3 号 p. 315-320
急性呼吸窮迫症候群 (acute respiratory distress syndrome, ARDS) に対し, ヒドロコルチゾン少量投与を行った3症例を経験した。症例は, 68歳男性, 83歳男性, 70歳女性。全例, 市中肺炎を契機として発症したARDSで, 気管挿管施行された。気管挿管後のP/F比は60~107mmHgであった。ステロイド静注後 (プレドニゾロン50mg1例, ヒドロコルチゾン200mg2例), ヒドロコルチゾン10mg・hr-1の持続静注を開始した。投与開始後より酸素化は改善傾向を示し, 2例は入院8日および9日目にP/F比206, 200mmHgとなり抜管した。1例は, 入院11日目に敗血症性ショックをきたし死亡したが, 10日目にはP/F比236mmHgまで改善していた。早期からのステロイド少量持続投与が, 酸素化の改善に有効である可能性が示唆された。