日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
肺葉切除術後の急性呼吸不全により在宅人工呼吸療法に移行した一症例
谷口 英喜高野 修身佐々木 俊郎菅原 陽柴田 俊成
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2007 年 14 巻 3 号 p. 321-324

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抄録

症例は68歳, 男性。重複肺癌の診断で二期的に左肺上葉切除術および右肺下葉切除術が施行された。二回目の術後, 術中大量出血によるショックと輸血に伴う急性呼吸不全に術後肺炎を併発した。その後拘束性換気障害を呈し, 人工呼吸器からの離脱が困難になったため, 在宅人工呼吸療法 (home mechanical ventilation, HMV) への移行を目標とした。その結果, activities of daily living (ADL) は徐々に拡大し, また栄養状態も改善したため, 術後305日目にHMVへ移行できた。患者は退院後1年以上たった現在もADLを維持し, 自宅療養中である。本例のように肺葉切除術後の急性呼吸不全が原因で換気能力が低下した症例に対し, HMVは良好なquality of life (QOL) を提供できるひとつの方法である。

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© 2007 日本集中治療医学会
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