日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
急性心筋梗塞を合併した脚気衝心の1例
西山 芳憲見上 俊輔
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2007 年 14 巻 4 号 p. 593-598

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抄録

急性腹症の疑いで入院した58歳男性が心停止をきたし, 蘇生後ICUに入室した。心電図, 心エコーの所見から急性心筋梗塞と考えられた。冠動脈造影で左前下行枝の#7に90%狭窄および血栓像を認め, 血栓吸引およびステント挿入を行った。体血管抵抗の低下と代謝性アシドーシスが遷延したため, 脚気衝心を疑い, ビタミンB1を投与した。投与後12時間で代謝性アシドーシスは改善した。血圧, 体血管抵抗も順調に上昇し, 第5病日に人工呼吸から離脱した。ICU入室直後のビタミンB1血中濃度が19ng・ml -1と低値であったことが後日判明した。問診の結果, ビールを毎日大量に飲む習慣があり, アルコールの過剰摂取からビタミンB1の消耗増加をきたして脚気となったと推測された。

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© 2007 日本集中治療医学会
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