抄録
近年,バソプレシンの血管収縮作用が種々のショックに対して有効であるとの報告が散見される。そこで,死亡率のいまだ高いノルエピネフリン抵抗性敗血症性ショックに対するバソプレシン少量持続投与の有効性を検討した。ICUに入室した敗血症性ショック患者で,ノルエピネフリン投与にても血圧が上昇しない8症例に,バソプレシンを平均0.021 ± 0.008 U・min-1で持続投与した。バソプレシン投与にて,有意差を持って平均血圧は上昇,脈拍数は減少,尿量は増加した。血小板数,肝酵素,総ビリルビン値は投与前後で有意差を認めなかった。重篤な副作用もなく全例救命できた。ノルエピネフリン抵抗性敗血症性ショックに対するバソプレシン少量持続投与は循環動態を改善し,尿量を増加させ有効である。また,重篤な副作用もなく,安全性も示唆された。