日本集中治療医学会雑誌
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15 巻 , 1 号
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今号のハイライト
総説
  • 内野 博之, 平林 剛, 柿沼 孝泰, 石井 脩夫, 芝崎 太, 黒田 泰弘
    2008 年 15 巻 1 号 p. 21-40
    発行日: 2008/01/01
    公開日: 2008/08/15
    ジャーナル フリー
    集中治療領域では脳を虚血という侵襲から保護するために,これまで様々な方策がなされてきた。これらは,(1)非薬物療法と(2)薬物療法に2分される。脳保護は神経変性防御学(脳を保護するための治療法)に包含される8つの項目が鍵となる。すなわち,(1)手術手技の改善,(2)血圧および脳圧の制御と脳灌流の維持,(3)脳保護のための新規薬物の開発,(4)therapeutic windowを考慮した薬物療法,(5)術中高体温・高血糖の回避,術後低体温療法,再灌流障害の防止,(6)生体にある脳保護機構(虚血耐性現象)の利用,(7)脳機能モニタリングとバイオマーカーの探索ならびに脳指向型集中治療法のさらなる改善,さらに(8)万が一,機能障害が残るときは,神経再生学的なアプローチを行い,将来的には遺伝子治療の導入を組み合わせて,虚血性神経細胞障害の発症を完全または最小限に抑え,神経の再生と機能の回復に努めることである。
  • 野中 誠, 門倉 光隆
    2008 年 15 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 2008/01/01
    公開日: 2008/08/15
    ジャーナル フリー
    縦隔炎は様々な疾患に引き続いて発生するが,降下性壊死性縦隔炎は歯科および頚部感染症によって起こる,致死的で緊急を要する病態である。歯科および頚部感染症は一般的に見られるものであるが,頚胸部の臨床所見を認める場合には直ちに頚胸部CTを施行することにより,降下性壊死性縦隔炎を早期に発見することが可能となる。患者を救命するためには,積極的な頚部や縦隔の外科的ドレナージが必要である。また術後も膿瘍の再燃が起こり得るため,その早期発見のためにCTが有用である。降下性壊死性縦隔炎はすべての臨床医が把握すべき病態であり,総説した。
解説
原著
  • 山下 芳久, 塚本 功, 村杉 浩, 大浜 和也, 菅原 壮一, 鈴木 洋通
    2008 年 15 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 2008/01/01
    公開日: 2008/08/15
    ジャーナル フリー
    持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration, CHDF)に使用する市販の血液濾過器5製品[パンフローAPF-06S(APF),PSフィルターC07(PS),ヘモフィールSH-0.8(SH),ヘモフィールCH-0.6L,UTフィルターUT-700S]を比較評価した。腎不全を併発する重症患者18例に対して,5製品を無作為に割り付け,溶質除去性能および限外濾過率を経時的に測定した。低分子量溶質(尿素窒素,クレアチニン)の除去性能は,製品間で有意差を認めず,24時間後の低下も見られなかった。低分子量蛋白質(β2ミクログロブリン,ミオグロビン,インターロイキン6)の除去性能はAPF,PSが高く,24時間後の低下も軽微であった。どの製品もα1ミクログロブリンの除去は十分でなく,またアルブミン漏出は見られなかった。限外濾過率はAPF,SHが高く,長時間の使用が可能であった。長い膜寿命と共に低分子量蛋白質除去性能が求められる血液濾過器として,総合的にAPFが最も優れている可能性が高い。
症例報告
  • 大澤 武, 福井 道彦, 小尾口 邦彦, 井上 静香, 山田 知輝
    2008 年 15 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 2008/01/01
    公開日: 2008/08/15
    ジャーナル フリー
    子宮外妊娠破裂に伴う心肺停止の蘇生後に相対的副腎機能不全を発症した1例を経験した。症例は33歳,女性。子宮外妊娠破裂の発症から14時間後に当院に搬送され,直後に心肺停止となった。蘇生により心拍再開し,手術を行った。術後第1病日に循環動態が不安定になり,肺動脈カテーテルにて血管拡張性ショックと判明した。第2病日に相対的副腎機能不全を疑いACTH負荷試験後にヒドロコルチゾン200 mg・day-1の投与を開始し,循環動態は安定した。ヒドロコルチゾンを漸減しながら16日間投与した。負荷試験の結果は相対的副腎機能不全と一致した。また凝固障害,disseminated intravascular coagulation(DIC),急性肝不全・腎不全,多発脳出血などの多臓器不全に対して持続血液濾過透析,血漿交換などの治療を行い,状態が安定したので第24病日に一般病棟へ退室した。軽度の知能低下以外に障害を生じず社会復帰した。過大侵襲後の急性循環不全では,原因として相対的副腎機能不全も鑑別に入れて早期診断・治療を行うべきである。
  • 藤井 洋泉, 小坂 順子, 川西 進, 片山 大輔, 奥 格, 實金 健, 福島 臣啓, 時岡 宏明
    2008 年 15 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2008/01/01
    公開日: 2008/08/15
    ジャーナル フリー
    近年,バソプレシンの血管収縮作用が種々のショックに対して有効であるとの報告が散見される。そこで,死亡率のいまだ高いノルエピネフリン抵抗性敗血症性ショックに対するバソプレシン少量持続投与の有効性を検討した。ICUに入室した敗血症性ショック患者で,ノルエピネフリン投与にても血圧が上昇しない8症例に,バソプレシンを平均0.021 ± 0.008 U・min-1で持続投与した。バソプレシン投与にて,有意差を持って平均血圧は上昇,脈拍数は減少,尿量は増加した。血小板数,肝酵素,総ビリルビン値は投与前後で有意差を認めなかった。重篤な副作用もなく全例救命できた。ノルエピネフリン抵抗性敗血症性ショックに対するバソプレシン少量持続投与は循環動態を改善し,尿量を増加させ有効である。また,重篤な副作用もなく,安全性も示唆された。
  • 大藤 純, 乾 大資, 湊 義彰, 佐藤 泰仁, 福田 靖, 西村 匡司
    2008 年 15 巻 1 号 p. 73-77
    発行日: 2008/01/01
    公開日: 2008/08/15
    ジャーナル フリー
    塩酸コルホルシンダロパート(colforsin daropate hydrochloride, CDH)は直接アデニル酸シクラーゼを活性化し,細胞内cyclic adenosine monophosphate(cAMP)濃度を上昇させ,心筋収縮増強作用,血管拡張作用,利尿作用を発現する。CDHは,カテコラミンなどが効かない薬物治療抵抗性の急性心不全に対し適応があるが,小児症例への使用は少ない。今回,重篤な心不全となった先天性僧帽弁逆流症(mitral regurgitation, MR)例に対し,CDHの少量投与が著効した小児症例を経験した。症例は11ヶ月女児。多発奇形症候群,MR。上気道感染から心不全が増悪し,人工呼吸管理となった。ドパミン(7μg・kg-1・min-1),ミルリノン(0.5μg・kg-1・min-1)投与も効果なく,CVP 22 mmHg,left ventricular end-diastolic dimension(LVEDd) 34.1 mm(正常値23 mm),brain natriuretic peptide(BNP) 13,987 pg・ml-1と心不全は進行し,P/F比 89 mmHgと酸素化も悪化した。CDH(0.1~0.16 μg・kg-1・min-1)投与開始後,尿量増加を認め心不全症状は改善した。投与開始後2週間で体重は1.5 kg減少し,CVP 7 mmHg,BNP 351 pg・ml-1,P/F比400 mmHg と改善し,抜管した。CDHは2ヶ月間投与し,漸減・中止した。CDHは,カテコラミンやphosphodiesterase III(PDE III)阻害薬に不応性の小児重症心不全に有用であった。
  • 徳嶺 譲芳, 新田 憲市, 照屋 孝二, 比嘉 達也, 羽賀 亜矢子, 大久保 潤一, 和泉 俊輔, 須加原 一博
    2008 年 15 巻 1 号 p. 79-81
    発行日: 2008/01/01
    公開日: 2008/08/15
    ジャーナル フリー
    皮下気腫や皮膚潰瘍のため,中心静脈ラインの穿刺部位の選択に苦慮した潰瘍性大腸炎の一例を経験した。超音波ガイドにより,末梢側大腿静脈にカテーテルを安全に留置できた。重症患者では,穿刺部位選択の制限などにより,しばしば中心静脈ラインの確保に困難を伴う。このような場合,超音波ガイドは穿刺補助手段として有用である。
  • Takeshi Takahashi, Tomohiro Takita, Yanosuke Kozaki, Masahiro Harada, ...
    2008 年 15 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 2008/01/01
    公開日: 2008/08/15
    ジャーナル フリー
    The widespread appearance of early CT signs is a contraindication for thrombolytic therapy. Here, we report a patient with an ischemic cerebral vascular disorder and widespread early CT signs as a result of an embolism in the middle cerebral artery (MCA) trunk. Superselective thrombolytic therapy with urokinase improved the symptoms without causing the formation of sequelae. A 20-year-old woman developed left semiparalysis after suddenly falling at a bank. Widespread early CT signs were observed on brain CT scans obtained 1 hour after onset. MRI revealed an embolism in the right MCA (M2). Superselective thrombolytic therapy was started 2 hours after onset, and complete re-canalization was achieved within 3 hours of the thrombolytic therapy. The patient recovered almost completely, with only a slight persisting numbness in her left hand.
  • 一ノ宮 大雅, 寺尾 嘉彰, 東島 潮, 田邉 孝大, 三浦 耕資, 福崎 誠
    2008 年 15 巻 1 号 p. 87-92
    発行日: 2008/01/01
    公開日: 2008/08/15
    ジャーナル フリー
    多発外傷後に抱合型優位の著明な高ビリルビン血症を呈した2症例を経験した。一般的に血腫の再吸収や多量の輸血は非抱合型ビリルビンの産生を増大させると言われている。しかし多発外傷においては,ショックに伴う肝血流減少や,感染,薬剤投与などが抱合型ビリルビンの肝内胆管への能動輸送を障害し,そこへ血腫再吸収や輸血に伴うビリルビンの産生亢進が加わることで,最終的に抱合型優位の著明な高ビリルビン血症が起こったと考えられた。また,ビリルビン値改善の経過から,絶飲食によるビリルビンの再吸収亢進や,PEEP負荷による人工呼吸,ショックや高用量のカテコラミン,鎮静薬投与に伴う消化管運動障害,胆汁排泄障害などが複合的に増悪因子として関与している可能性が示唆された。さらにシベレスタットナトリウム水和物の高ビリルビン血症への影響についても今後検討の必要があると思われる。また抱合型優位の高ビリルビン血症では,それ自体を問題とした治療は必要ないと考えられる。
  • 長野 ゆり, 福島 臣啓, 石井 瑞恵, 片山 大輔, 藤井 洋泉, 奥 格, 實金 健, 時岡 宏明
    2008 年 15 巻 1 号 p. 93-96
    発行日: 2008/01/01
    公開日: 2008/08/15
    ジャーナル フリー
    症例は34歳,男性。胸部圧迫感,腹痛,呼吸困難の症状で発症した。胸部X線写真にて肺水腫を認め,心エコーにて左室駆出率20%と,びまん性左室壁運動低下を認めた。腹部CTで左副腎に腫瘤を認め,血中アドレナリン濃度が52,009 pg・ml-1,ノルアドレナリン濃度が35,810 pg・ml-1という異常高値から褐色細胞腫と診断した。末梢血管抵抗増加に対して塩酸ニカルジピンと塩酸ブナゾシンの投与を行った。肺水腫はすみやかに改善し,循環動態は安定した。血中カテコラミン濃度は経過とともに低下し,心収縮力は改善した。第12病日に左副腎摘出術を施行し,術後血中カテコラミン濃度は正常化し,第28病日に退院した。本症例の病因として,カテコラミン心筋症と血管透過性亢進による肺水腫が考えられた。
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