日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
重篤な心不全に塩酸コルホルシンダロパートが著効した先天性僧帽弁逆流症の一例
大藤 純乾 大資湊 義彰佐藤 泰仁福田 靖西村 匡司
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2008 年 15 巻 1 号 p. 73-77

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抄録

塩酸コルホルシンダロパート(colforsin daropate hydrochloride, CDH)は直接アデニル酸シクラーゼを活性化し,細胞内cyclic adenosine monophosphate(cAMP)濃度を上昇させ,心筋収縮増強作用,血管拡張作用,利尿作用を発現する。CDHは,カテコラミンなどが効かない薬物治療抵抗性の急性心不全に対し適応があるが,小児症例への使用は少ない。今回,重篤な心不全となった先天性僧帽弁逆流症(mitral regurgitation, MR)例に対し,CDHの少量投与が著効した小児症例を経験した。症例は11ヶ月女児。多発奇形症候群,MR。上気道感染から心不全が増悪し,人工呼吸管理となった。ドパミン(7μg・kg-1・min-1),ミルリノン(0.5μg・kg-1・min-1)投与も効果なく,CVP 22 mmHg,left ventricular end-diastolic dimension(LVEDd) 34.1 mm(正常値23 mm),brain natriuretic peptide(BNP) 13,987 pg・ml-1と心不全は進行し,P/F比 89 mmHgと酸素化も悪化した。CDH(0.1~0.16 μg・kg-1・min-1)投与開始後,尿量増加を認め心不全症状は改善した。投与開始後2週間で体重は1.5 kg減少し,CVP 7 mmHg,BNP 351 pg・ml-1,P/F比400 mmHg と改善し,抜管した。CDHは2ヶ月間投与し,漸減・中止した。CDHは,カテコラミンやphosphodiesterase III(PDE III)阻害薬に不応性の小児重症心不全に有用であった。

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© 2008 日本集中治療医学会
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