日本集中治療医学会雑誌
症例報告
多発外傷後に著明な抱合型高ビリルビン血症を来たした2症例についての検討
一ノ宮 大雅寺尾 嘉彰東島 潮田邉 孝大三浦 耕資福崎 誠
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15 巻 (2008) 1 号 p. 87-92

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抄録

多発外傷後に抱合型優位の著明な高ビリルビン血症を呈した2症例を経験した。一般的に血腫の再吸収や多量の輸血は非抱合型ビリルビンの産生を増大させると言われている。しかし多発外傷においては,ショックに伴う肝血流減少や,感染,薬剤投与などが抱合型ビリルビンの肝内胆管への能動輸送を障害し,そこへ血腫再吸収や輸血に伴うビリルビンの産生亢進が加わることで,最終的に抱合型優位の著明な高ビリルビン血症が起こったと考えられた。また,ビリルビン値改善の経過から,絶飲食によるビリルビンの再吸収亢進や,PEEP負荷による人工呼吸,ショックや高用量のカテコラミン,鎮静薬投与に伴う消化管運動障害,胆汁排泄障害などが複合的に増悪因子として関与している可能性が示唆された。さらにシベレスタットナトリウム水和物の高ビリルビン血症への影響についても今後検討の必要があると思われる。また抱合型優位の高ビリルビン血症では,それ自体を問題とした治療は必要ないと考えられる。

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  • 「日本版敗血症診療ガイドライン2016」訂正について     2017年2月に発行した「日本版敗血症診療ガイドライン2016」中の「CQ5-6:抗菌薬はプロカルシトニンを指標に中止してよいか?」につきまして,「推奨:敗血症,敗血症性ショックにおける抗菌薬治療で,PCT 値を指標に抗菌薬の中止を行わないことを弱く推奨する(2B)。」(同意率78.9%)としておりました。 しかし,本ガイドライン発行後に新たにRCT1件*を追加してメタアナリシスを行ったところ,28日死亡率が有意に改善し,抗菌薬投与日数も有意に短縮するという結果となりました。 この結果を本邦の臨床現場に適用できるかも含めて委員会内で議論し投票を行った結果,「推奨:敗血症において,PCT を利用した抗菌薬の中止を行うことを弱く推奨する(2B)。」(同意率78.9%)に変更いたします。詳細は,日本集中治療医学会ホームページhttp://www.jsicm.org/news-detail.html?id=168にて公開中の修正版 S53頁,S54頁,S61頁,S62頁 をご参照いただきますよう,お願い申し上げます。*de Jong E, van Oers JA, Beishuizen A, et al. Efficacy and safety of procalcitonin guidance in reducing the duration of antibiotic treatment in critically ill patients: a randomised, controlled, openlabel trial. Lancet Infect Dis 2016;16:819-27.                2017年9月7日 日本集中治療医学会・日本救急医学会合同日本版敗血症診療ガイドライン2016作成特別委員会委員長:西田 修副委員長:小倉 裕司担当理事:織田 成人(日本集中治療医学会)担当理事:田中 裕(日本救急医学会)
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