日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
羊水塞栓症から多臓器不全を合併したが救命できた1例
水野 裕美子山中 薫松村 祐水谷 隆洋竹内 宗之井口 直也池田 智明今中 秀光
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2008 年 15 巻 3 号 p. 319-322

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抄録
羊水塞栓症は周産期における重篤な合併症のひとつである。今回われわれは,羊水塞栓症から多臓器不全を合併したが,救命することのできた1例を経験した。症例は35歳の初産妊婦で,常位胎盤早期剥離のため帝王切開術により女児を出産した。約1時間30分後より,異常出血が起こり,呼吸不全,循環不全が出現した。大量輸血・輸液,アドレナリン投与などの蘇生処置にもかかわらず臓器不全が進行したため,当院へ搬送となり緊急開腹止血術を施行した。術後ICUに入室したが,P/F比67 mmHgの低酸素血症とうっ血性心不全を呈した。羊水塞栓症を疑い,人工呼吸管理を開始するとともに,肺動脈カテーテルや経食道心エコー所見から重篤なうっ血が疑われたため,瀉血や持続血液濾過による前負荷管理を行った。術後4日目に抜管,術後48日目に独歩退院となった。ICU入室時の血清亜鉛コプロポルフィリンが高値であることから,羊水塞栓症の診断が確定した。周産期に異常出血や呼吸循環障害が発症した場合,羊水塞栓症を疑い集中治療を進めることが重要である。
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© 2008 日本集中治療医学会
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