日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
たこつぼ心筋症様病像を呈した褐色細胞腫において循環動態の改善にランジオロールが有効であった一例
高田 基志山本 拓巳井上 智重子酢谷 朋子新家 一美鈴木 照土肥 修司
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2009 年 16 巻 3 号 p. 289-293

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抄録
患者は67歳,女性。めまいと嘔吐を主訴に経過観察入院となったが,入院3日目に胸部不快感とSTの上昇を認め,緊急心臓カテーテル検査が実施された。冠動脈に有意狭窄はなかったが,心尖部の収縮低下を認め,たこつぼ心筋症と診断された。ICU入室時,頻脈を認めたため,ランジオロールにて心拍数のコントロールを試みた。また悪心・嘔吐に対してドロペリドールを投与したところ,急激な血圧低下と頻脈を来たした。急速輸液とフェニレフリン投与は無効であった。ランジオロールを増量したところ,血圧の上昇を認めた。プロプラノロール内服によりランジオロールを漸減でき,入室3日目に一般病棟に転床した。しかし後日イレウスを来たし,不幸な転帰をとった。病理解剖の結果,褐色細胞腫が判明した。本症例の左室壁運動異常の原因は過剰カテコラミンによる微小循環障害と推察された。またランジオロール投与は左室壁運動を正常化し,循環動態を改善したと考えられた。
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© 2009 日本集中治療医学会
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