抄録
本研究は,ICUに入室した成人患者344名を対象に,再挿管に影響を与える因子を明らかにすることを目的とした。診療記録と看護記録の閲覧によってデータを収集し,再挿管の要因となりうる項目ごとにMann-Whitey検定またはχ2検定を行った。抜管後72時間以内に再挿管となった患者は33名と,全体の9.6%であった。再挿管群ではAcute Physiology and Chronic Health Evaluation(APACHE)II score・挿管期間・肺炎・腎不全・持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration, CHDF)の項目で有意に高値を示していた(P<0.05)。咳嗽力や経皮的気管穿刺針の挿入など,喀痰喀出に関係する因子においても有意差がみられ(P<0.01),再挿管に影響している可能性が示唆された。