2010 年 17 巻 2 号 p. 227-232
ICU入室患者の治療成績を向上させるには,患者の重症度評価と予後に関するデータ蓄積が必要不可欠である。そこで,全国のICUの実態・治療等に関する松田班調査が2006,2007,2008年度に行われた。各年度の10月の1ヵ月間にICUに入室した患者を対象に,Acute Physiology and Chronic Health Evaluation II(APACHE II)スコアを用いた重症度評価と予後,各施設のICU運用状況等を調査した。今回は2007年度の調査結果を検討した。ベッド数は6床が最も多く,中央値は8床であった。午前10時に専任の医師がいない施設が21%あり,夜間にはさらに増加した。APACHE II スコアは11,12点が最も多く,実死亡率はAPACHE II スコアから予測される死亡率より低かった。今後は治療に関与する因子を特定し,わが国ICUの治療成績向上を目指す必要がある。そのためには,恒常的なデータ収集システムの構築が必須である。