日本集中治療医学会雑誌
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総説
敗血症における心機能障害
~心筋保護とβ遮断薬の可能性~
鈴木 武志芹田 良平森崎 浩
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2011 年 18 巻 2 号 p. 193-200

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抄録
敗血症治療の基本は,感染源除去を含む感染制御と輸液負荷や心血管作動薬投与による循環動態の維持である。しかし敗血症心筋は,重要臓器への酸素供給を担う一方,早期より機能的ならびに構造的に障害されている。よって,酸素供給量の増加を目的とした敗血症早期からのカテコラミン投与は,障害された敗血症心筋にはさらなる負荷となりえる。一方,慢性心不全や虚血性心疾患など,その機序を問わず心機能が障害されている場合,β遮断薬により心臓への負荷を軽減する手段の有用性が広く認められ,多くのガイドラインが推奨している。基礎代謝亢進と高心拍出量を呈する循環動態が敗血症と著しく類似した熱傷患者でも,β遮断薬により双方を抑える治療の有用性が認知され始めている。本稿では,敗血症治療の基本となる輸液負荷や心血管作動薬投与と敗血症心機能障害に焦点を当て,心筋保護の必要性とβ遮断薬の可能性について考察した。
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© 2011 日本集中治療医学会
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