抄録
心臓血管手術関連の急性腎傷害は頻繁に起こる合併症で,死亡率増加の危険性を増す。そこで,心臓血管手術患者における心房性ナトリウム利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide, ANP,カルペリチド)投与の血行動態や腎機能への影響を,PubMed検索により無作為対照試験11研究を選び出し,評価した。評価対象の研究は,患者数が少ないものが多く,全て単一施設からの報告であった。ANP群では,尿量,クレアチニンクリアランス,あるいは糸球体濾過率が増加し,利尿薬の投与量も減り,血清クレアチニンやblood urea nitrogen(BUN)濃度も低かった。しかし,血液浄化療法や死亡率に言及したものは3研究のみであった。これらのデータから,心臓血管手術の周術期におけるANP投与の長期予後への有効性を示すには不十分である。心臓血管手術関連の急性腎傷害において,ANP投与が腎機能,入院日数,転帰,医療費に及ぼす影響をさらに検討するには,大規模多施設共同研究が必要である。