日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
症例報告
ジスチグミン臭化物の慢性中毒に伴うコリン作動性クリーゼの一症例
方山 真朱熊澤 淳史大江 恭司田澤 直樹李 夏暎伊藤 史生糟谷 美有紀伊良部 徳次
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 18 巻 2 号 p. 227-231

詳細
抄録

ジスチグミン臭化物10 mg/dayを1年間にわたり内服し,3ヶ月以上続く難治性の下痢や嘔吐など消化器症状のため入院したが,ジスチグミン臭化物中毒によるコリン作動性クリーゼを発症し,救命し得なかった一症例を経験した。背景に肝硬変があり,慢性的にコリンエステラーゼ値が低値であったため,ジスチグミン臭化物中毒の診断に時間がかかった。コリンエステラーゼ残存率は約7ヶ月前から異常低値であり,難治性の消化器症状が出現した時期と合わせて慢性中毒と考えた。難治性の消化器症状およびコリンエステラーゼ値が異常低値を示す高齢者では,ジスチグミン臭化物の中毒を疑い,早期から集中治療の対象とするのが望ましい。

著者関連情報
© 2011 日本集中治療医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top