抄録
【目的】当院小児集中治療室(pediatric ICU, PICU)で過去10年間に死亡した症例の中から,脳死下臓器提供者となりうる例の発生頻度を検討する。【対象と方法】単施設における後方視的検討。対象は2001年1月1日~2011年1月31日に当院PICUで死亡した症例。これらの症例から,診療録を用いて「脳死とされうる状態」,「小児法的脳死除外例」,「脳死下臓器提供者となりうる例」を臓器の移植に関する法律の運用に関する指針(ガイドライン)に則って選定した。【結果】総入室患者3,031人中,死亡患者100人であり,「脳死とされうる状態」と判定した患者は31人,「小児法的脳死除外例」は18人,「臓器提供者となりうる例」は13人であった。「臓器提供者となりうる例」13人の死因は,低酸素脳症6人(46%),脳梗塞4人(31%),頭蓋内出血3人(23%)であった。【結論】当院PICUで死亡する患者の13%(総入室患者の0.4%)が改正臓器移植法における「臓器提供者となりうる例」と思われた。