抄録
【目的】ポリミキシンB固定化カラムによる直接血液灌流法(polymyxin B immobilized fiber column direct hemoperfusion, PMX-DHP)の臨床成績を後方視的に解析し,本治療の予後関連因子を考察した。【方法】敗血症性ショックに,PMX-DHPを施行した29例を対象とした。感染部位,原因菌のグラム染色別に治療成績を比較した。循環動態の改善をカテコラミン使用量にて評価した。【結果】生存率は66%(19/29例)。感染部位別では,肺3/8例,腹部1/4例,原発不詳6/8例が死亡したが,尿路(0/5例)・下肢(0/4例)感染症は全例生存した。グラム染色別では死亡率に有意差はなかった。PMX-DHP施行前後のカテコラミン使用量の減少は,死亡群より生存群において顕著であった。【結論】臨床成績は感染部位と関連があると考えられた。グラム陰性・陽性菌の違いは死亡率に影響しなかった。PMX-DHPによる循環動態の改善反応が良いことが,良好な転帰に関連すると推定された。