日本集中治療医学会雑誌
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総説
システマティック・レビュー:人工呼吸患者への鎮静プロトコルと鎮静中断の有用性
細川 康二江木 盛時西村 匡司
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2012 年 19 巻 2 号 p. 165-175

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抄録
【目的】人工呼吸患者に対し鎮静プロトコルや鎮静中断を行い,深鎮静を防ぐことにより,人工呼吸期間やICU在室期間が短縮するとされるが,いずれの方法が有効であるかに関する文献レビューは不足している。【方法】1990年1月から2010年10月までに発刊されたPubMed上の文献に関してシステマティック・レビューを行い,人工呼吸患者の鎮静方法と予後の関係を調べたランダム化比較試験を抽出し,分析した。【結果】鎮静プロトコルや鎮静中断は,従来の鎮静管理に比べ人工呼吸期間を8.2%,ICU在室期間を15.3%短縮させるが,死亡率は下げない。鎮静中断は人工呼吸期間に影響を与えない可能性があるとともに,自己抜管などの合併症増加の報告がある。【結論】鎮静プロトコルや鎮静中断を用いることは有用であるが,鎮静プロトコルと鎮静中断の優劣をつける強い根拠はない。ただし,鎮静中断で合併症が多く,安全面で劣る可能性がある。
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© 2012 日本集中治療医学会
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