抄録
【目的】Intrapulmonary percussive ventilation(IPV)は,急性呼吸不全の血液ガス改善に優れるとされているが,その主要因は明らかでない。そこで本研究では,IPVの効果をpercussionを伴わないPEEPと比較した。【方法】対象は人工呼吸管理を受けている急性呼吸不全患者8例で,「synchronized intermittent mandatory ventilation(SIMV)+PEEP」モードに,IPVによるpercussion圧を重畳した換気法(IPV法)と,PEEPを追加上昇させた換気法(PEEP法)でクロスオーバー法対照試験を行った。【結果】P/F比の改善は両換気法で差がなかったが,PaCO2と1回換気量の改善はIPV法がPEEP法より優れていた。【結論】IPVのガス交換改善効果は単純な気道内圧上昇によるものではなく,percussion作用が影響していると考えられた。