日本集中治療医学会雑誌
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総説
脳卒中診療におけるneurocritical careへの期待
—新たなるシステム確立に向けて—
小畑 仁司杉江 亮
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2012 年 19 巻 3 号 p. 325-330

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抄録
近年,米国を中心に発展しつつあるneurocritical careは,生命の危機に瀕する重篤神経傷病を主たる対象とし,多領域にわたる専門職の協力のもと,集学的にこれら患者の治療を行うものである。2003年にNeurocritical Care Societyが設立され,2004年に機関誌創刊,2007年から専門医制度が実施され,現在,全米102施設にneuro-ICUが設置されている。診療の中核を担うのは,臨床神経学と集中治療医学の知識・手技を修得したneurointensivistであり,修得すべき技能は,各種脳モニタリングに加え,脳虚血に対する再灌流療法や低体温療法などの治療を含む。Neuro-ICUはstroke care unitより遙かに広範な疾患群を対象とし,脳卒中様症状を呈する非脳卒中にも対応可能である。患者転帰改善や入院日数短縮に有用性が示され,わが国での発展が望まれる。
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© 2012 日本集中治療医学会
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