抄録
急性腎傷害での酸塩基平衡異常の成因と持続血液浄化法(continuous renal replacement therapy, CRRT)による是正機序をStewart approachにより解析した。急性腎傷害では代謝性アシドーシスによる酸血症をきたしていた。その成因としては,strong ion difference apparentの減少,リン酸の上昇,strong ion gap(SIG)の増加が挙げられたが,低アルブミン血症により緩衝されていた。一方,CRRTによりSIG,リン酸,Clが減少しアシドーシスは是正された。また,乳酸緩衝液によるCRRTでは乳酸負荷による乳酸の増加が見られたが,重炭酸緩衝液によるCRRTでは乳酸排泄がアシドーシス是正に寄与する可能性がある。乳酸緩衝液によるhigh volume hemofiltrationでは,乳酸が一時的に増加するため注意が必要である。