抄録
【目的】食道癌術後患者を対象に経腸栄養のプロトコルを作成し,その効果を検討した。【方法】プロトコル導入前群(経腸栄養開始日:未定,投与量増加の判断:1日1回,投与増加量:未定)24名とプロトコル導入後群(経腸栄養開始日:術後2~3日目,投与量増加の判断:1日2回,投与増加量:20 kcal/hr)27名について比較検討した。【結果】プロトコル導入後群では,導入前群と比較して,100%基礎代謝量の経腸栄養が有意に早期に達成でき(P<0.001),高カロリー輸液使用率が有意に減少した(P=0.03)。プロトコル導入によって,下痢発生率(P=0.88),栄養逆流量増加(P=0.48)といった有害事象は増加しなかった。【結論】食道癌術後患者に対し経腸栄養のプロトコルを使用することで,明らかな有害事象をきたすことなく,早期に経腸栄養を増加させることができた。