抄録
経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support, PCPS)及び膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation, ECMO)脱血用カテーテルが右上行腰静脈に挿入された2症例を報告する。1例目は30歳代,男性。院外心肺停止症例。治療抵抗性の心室細動のためPCPSを緊急導入した。2例目は50歳代,女性。院内心肺停止症例。心拍再開後も低酸素血症が持続するためECMOを緊急導入した。2症例とも脱血用カテーテルを右大腿静脈から挿入し,X線正面像で下大静脈内と思われたが,CTで右上行腰静脈への挿入が確認された。上行腰静脈にカテーテルが挿入されても,X線正面像では下大静脈との区別が困難なことがあり,注意を要する。ストレート,アングルタイプのガイドワイヤでは側枝迷入の危険性が高く,Jタイプの使用が推奨される。