日本集中治療医学会雑誌
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原著
敗血症性disseminated intravascular coagulation(DIC)におけるリコンビナントトロンボモジュリンとダナパロイドナトリウムの臨床効果について
梅垣 岳志西 憲一郎波多野 貴彦岡本 明久浜野 宣行山崎 悦子阪本 幸世新宮 興
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2012 年 19 巻 4 号 p. 603-608

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抄録

リコンビナントトロンボモジュリン(recombinant thrombomodulin, rTM)は抗凝固,抗炎症作用の両面において注目されている。我々は敗血症性disseminated intravascular coagulation(DIC)症例を対象に,rTMとダナパロイドナトリウム(danaparoid sodium, DS)の臨床効果を後向きに比較検討した。2006年1月から2010年12月にかけて調査を行い,急性期DICスコアが5点以上,もしくは4点かつ血小板スコアが3点の症例にrTMを使用し,DSはrTM使用基準と合致する症例を抽出した。症例はrTM使用33例とDS使用40例であった。rTM群は血小板数が治療開始4日目以降に有意に改善した。アンチトロンビン(antithrombin, AT)値はrTM群とDS群で4日目に有意に上昇したが,D-dimer値は両群とも有意な変動はなかった。rTM群はDS群より長期予後が良好であった(P<0.01)。しかし,28日死亡率に対して有意な影響はみられなかった。

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© 2012 日本集中治療医学会
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