抄録
【目的】中心静脈カテーテル(central venous catheter, CVC)によるカテーテル関連血栓症(catheter-related thrombosis, CRT)の発症頻度と経過,発症要因,合併症と転帰を調査した。【方法】2009年11月~2010年11月にCVCを用いた患者を対象に,超音波を用いCRTを観察した。【結果】CRTの頻度は患者100人中67人,カテーテル205本中107本(52%)であり,大腿静脈に比べ内頸静脈で多かった(63%対28%,P<0.001)。CRT発症群では,非発症群に比べ感染性併発症を多く認めた(67%対45%,P=0.04)。中心静脈カテーテル関連血流感染症は,CRT非発症例に比べ発症例で多く合併した(9%対1%,P=0.008)。ICU滞在日数はCRT発症群で延長したが死亡率に有意差はなかった。【結論】CRTは52%と高頻度に発症し,感染症との関連性が示唆された。