日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
インフルエンザA/H1N1pdm09とA群溶連菌の重複感染から血球貪食症候群をきたした1例
小野 雄一郎小野 真義伊藤 岳佐野 秀宮本 哲也当麻 美樹
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2013 年 20 巻 2 号 p. 253-256

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抄録

インフルエンザA/H1N1pdm09による重症病態は数多く報告されている。インフルエンザ感染に劇症型A群溶連菌感染症,血球貪食症候群を併発した1例を報告する。症例は24歳の男性。高熱,意識障害で前医を受診,精査の結果,インフルエンザ感染による多臓器障害と診断され,当院に紹介搬送となった。来院時,呼吸不全・循環不全を呈しており,心機能の著明な低下も認めたため,人工呼吸器管理,補助循環を導入した。また,臨床所見から血球貪食症候群を併発していると判断し,免疫抑制療法や血漿交換を施行したが,溶連菌菌血症も併発し,救命することができなかった。死後の骨髄検体で血球貪食像や溶連菌の組織浸潤を認めた。インフルエンザは日常診療でしばしば遭遇する疾患であるが,ときに致死的な合併症をひき起こすため,注意すべきである。

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© 2013 日本集中治療医学会
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