日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
血糖値の著明な逸脱により頭部CTとMRIで異常所見を呈した2症例
山下 茂樹入江 洋正大竹 孝尚吉田 光剛岡本 洋史新庄 泰孝横田 喜美夫米井 昭智
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2013 年 20 巻 2 号 p. 261-264

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抄録

血糖値の著明な逸脱と同時に,頭部CT・MRIの異常所見を認めた2症例を経験した。1例目は82歳男性で,右片麻痺,構音障害で受診した。受診時の血糖値は11 mg/dlであり,ブドウ糖の投与と画像による精査を行ったところ,頭部CTでの左後頭葉から頭頂葉の脳溝消失と,MRIの拡散強調画像での左中大脳動脈領域における高信号を認めた。ブドウ糖投与の開始3時間後に片麻痺は軽度改善した。2例目は54歳男性で,意識障害,痙攣で受診した。受診時の血糖値は1,087 mg/dlであり,尿中ケトン陽性であったため糖尿病性ケトアシドーシスと診断した。頭部CTで左被殻の高吸収を認めたため脳出血を疑ったが,インスリンにて血糖値は低下し,痙攣は消失した。発症4日目のMRIのT1強調画像で左被殻に高信号を認めた。著しい低血糖・高血糖は頭部CT・MRIに異常所見をきたすことがあり,脳梗塞や脳出血との鑑別が重要である。

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© 2013 日本集中治療医学会
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