日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
急性リチウム中毒の6症例の検討
山本 浩澤村 淳向井 信貴菅野 正寛久保田 信彦上垣 慎二早川 峰司丸藤 哲
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2013 年 20 巻 3 号 p. 401-404

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抄録

過去10年間において男性2名,女性4名の計6例の急性リチウム中毒を経験した。炭酸リチウムの服薬量は,全症例において中毒域に達するとされる40 mg/kg以上であった。血清リチウム濃度が判明した症例は2例であり,ともに致死濃度である4 mmol/lを超えていたが,1症例に持続的血液濾過透析を施行した。輸液療法主体の症例では血清リチウム濃度の減少勾配は比較的緩やかであり36時間後でも有効治療域を超えていたが,continuous hemodiafiltration(CHDF)症例では速やかに血清リチウム濃度は治療域に減少し,CHDF離脱後の再上昇も認められなかった。血清リチウム濃度の測定ができない施設があり,臨床症状では中毒症状の判断ができないことが指摘されている。血清リチウム濃度が中毒域を超えている場合,あるいは中毒域に達するとされる40 mg/kg以上の服用例では急性血液浄化法導入を考慮すべきと考えられた。

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© 2013 日本集中治療医学会
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